御嶽山への代参は、七月二七、二八日に行われる。以前は、先達・講社だけで、鉄道を使って代参に出かけていた。埼葛普寛講になったころから、先達・講社以外に参加者を募り、観光会社の企画で例年大型バス二台を使ってお山に行くようになった。また、バスになってからは、二七日から二九日までの二泊三日の行程となり、二泊目は観光地や温泉に宿泊する楽しみも加わった。
お山には、勝心講のころは黒沢口から登山していたが、共同講は王滝口であった。バスで出かけるようになってからは、共同講の王滝口から登山している。現在は、早朝に宮代を出発。午後、御嶽山に到着して、まず清滝で水行をする。その後、十二権現、霊神場、八海山を回り、宿(田の原山荘)に入る。また、お札は王滝口の胡桃沢旅館で用意してもらうため、代参の途中でこの旅館に立ち寄る。勝心講のころは、黒沢口の旅館でお札を用意してもらっていた。この両旅館は、それぞれ御嶽の御師の家である。
霊神場は、講で立てた石塔で、先達が亡くなると霊神として祀り、霊神碑を建てることがある。以前の霊神場は、埼葛普寛共同講の霊神場であったが、御嶽山の噴火による地震で行方不明になってしまった。このため、平成になってから新しく「埼葛普寛講」の霊神場を建立した。勝心講の霊神場の所在は不明である。このほか、丸薬を必ず買ってくる。
翌日は夜中の午前一時三〇分に宿を出発し、山頂で御来光を拝み、下山して宿に戻るのが午前八時ごろである。