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冬至祭・火渡り

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 一二月の冬至の日に行われる火渡りの祭は、その日の夕方に行われる。講として最も大きな行事であり、現在は町内の各地や町外からも参加するものがある。地域の民俗行事として古くから定着している。
 火渡りの行事は、古くから神社等で行われていたと伝えられているが、現在は県内でも数少なくなった。一年で最も日照時間が短い日である冬至の日に火渡りを行うのは、県内ではさいたま市一山神社冬至祭が知られている。
 会場は、下山拝みのときに希望をした先達・講社の家である。希望がなかった場合は、K先達の家で行っている。
 冬至の日には、午後三時ごろから、会場となる家の庭か近くの畑に火渡りを行う祭場の準備を始める。火渡りは、渡る道の両側に杉や松の薪木を二一段積み、この薪を燃やして火を焚き、その中を渡るのが基本である。その後、燃えた薪などを消し、オキ火にしてその上を渡る。オキ火を渡るようになったのは、昭和三〇年くらいからである。火渡りをする場所の回りには、あらかじめ四方の隅に竹を立て、さらにその元に幣束を立てる。この四本の竹をめぐるように、注連縄も張る。
 午後四時ごろからは、会場の家の座敷で、白装束に身を包み拝む。日没のころになると拝みも終わり、先達や講社は座敷から出て祭場に向かう。火渡りの祭場では、火渡りを始める前に、先達がこの四本の竹のところでそれぞれ「四方祓」を行い、四方を固めるために四隅に講社の者が立つ。その後、薪木に火をつける。
 先達と講社は、燃える火の周囲を拝みながら回り、しばらくして、二列の燃える薪の間を渡る。先達と講社が渡った後、一般の人々が渡る。おおむね渡り終え、薪が燃え尽きたころ平らにならし、その後まず先達や講社がオキ火の上を渡る。その後、一般の人々も渡る。オキ火の上でも、先達が火戻しをしてあるので、熱く感じないとされる。
 一般の人も含めて渡り終わると、火渡りを行った場所に水が掛けられる。薪の炭になったものを持ち帰り、これで餅を焼いて食べると、風邪をひかないといわれている。
   「宮代町の民俗行事 冬至の火渡り」(動画)