東粂原の獅子舞では、ひょっとこがこの役割にあたる。ここでの特徴は、ひょっとこが三人で、三匹の獅子に一人ずつそれぞれつくという点にある。興に乗ると、観客とやり取りをしたり、子供をかまったり、道化役としての位置づけもある。また、村回りのときには、一行の先払いをするように竹箒で掃いて歩くのが特徴的である。
ひょっとこは、ベテランの舞子が扮するもので、経験の少ない舞子を指導しながら舞うものである。全員がベテランでなくても、一人よくわかっている者が入ればよい。三匹の獅子にそれぞれひょっとこが付くようにして舞うため、元々は三人であった。現在はひょっとこが四人出る。舞のときにはひょっとこの持ち物は特にないが、村回りのときには箒を持つ。この箒で、獅子の歩く前を掃いて歩くのである。このほか、舞で使う弓も持って歩く。以前は、獅子舞を舞うときにもひょっとこは箒を持っていたもので、舞を間違えるとその箒で足を押されたりしたものである。
4-53 左から男獅子、女獅子、中獅子、ひょっとこ