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隠し

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 隠しは、本来、最後に舞う舞であるといわれる。中獅子が女獅子を四つの花(花笠)の中に隠し、これを男獅子が探すという内容である。このため、四つの花は始まる前に、舞場の四隅に立っている。
 出だしは平庭と同じで、総立ちで始まる。次に唄が入るのも同じで、次のような唄が入る。唄は太鼓がうたう。また、笛と太鼓の合の手も入る。この唄が終わると、「隠しの曲」に移る。四つの花がやや中央に寄り、この四つの花の中を、三匹の獅子が中獅子、女獅子、男獅子の順番で通り抜ける。最後に、手前から拝殿方向に一直線に抜けようとするとき、中獅子だけ通り抜けたところで、女獅子を四つの花がさらに中央に寄って取り囲む。これによって、中獅子は拝殿側、男獅子は手前に残り、女獅子が隠れたことになる。中獅子が女獅子を隠したという設定といわれる。ここで唄が入る。唄は太鼓がうたう。
 ここで笛が変わり、男獅子は中獅子が隠した女獅子を探す場面に移る。この女獅子を探す笛は、獅子舞の中でも一番勢いのある笛である。男獅子が探しているので、常に男獅子は中獅子の内側に入るようにして舞う。中獅子は、自分で隠したことをしらばっくれて、付き合いで探すふりをしているのだという。花の周りを男獅子、中獅子が二周くらい回り、左右から花の中をのぞき込むような仕草で見つかることになる。見つかると、花は中央から四隅に戻り、隠し独特の「お礼参り」に移る。これは、女獅子が見つけてくれた中獅子と男獅子にお礼をするのだという。この「お礼参り」が終わると、最後の舞に移り、終了する。