人々は屋敷神に身近な神様として、さまざまな現世利益を求めている。例えば、健康増進・病気退散・豊作祈願などの祈願を行う。そして、これらの信仰の対象は祀る家や耕地内の人々だけでなく、近隣の村々の人々まで信仰されている屋敷神もある。
屋敷神として一番多い稲荷社は、本来の農耕神としての信仰のほかにも、病気治癒、失わせ物探しの御利益などのように多様に信仰されている。
姫宮H家の稲荷様は伏見稲荷神社の分社で、五〇年位前まで初午のお籠りが行われていた。また、この稲荷様はコウデの神様として信仰されている。コウデとは、手首や足首が痛くなる病気でコウデの人は、稲荷様に供えてある麻をもらい、痛いところをなぞると治るといい、治ったら新しい麻を供える。