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荒神様

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 荒神様は土間のカマドの上部の棚やヒジロの上の壁に祀られている。カマドの神様でお勝手の神様、コージンサマ(荒神様)、火の神とも称されている。

4-60 荒神様(山崎 I家)

 荒神様は火の神としての性格の外にも、農耕神としての性格や家の神としての性格も持っでいる。農耕神としては、田植えの終わった時にサナボリの祝いが行われる。このときには、田植えを手伝ってくれた人たちを呼んでご馳走し、荒神様に三束の稲苗とぼた餅を供える。また、家の神の性格としては、婚姻のときに嫁が最初の嫁ぎ先に入るときにカマドの神様としての荒神様にお参りしてから、祝言の座敷に上がることが行われていた。
 荒神様の行事としては、一〇月末日から一か月の間出雲にその家の嫁を探しに旅立つという。この時に荒神様につぼみの菊の花を飾り、団子を三六個以上供える。家によってはぼた餅を供えて、あんのたくさん付けたぼた餅を供えると着物をたくさん持った嫁が来るという。団子もぼた餅も重箱などで荒神様に供えられる。
 また、荒神様が帰ってくる一一月末日には、咲いた菊の花を供えたり、松と団子を供える。この日には荒神様が帰って家に上げるときに足を洗う足洗の水をどんぶりに入れて用意しておく。