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子授け祈願

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 現代は生命そのものが科学の力でコントロールでき、子供を産むために体外受精などの手段を用いることができる時代だが、以前は「子は天からの授かりもの」とされ、妊娠や出産は人知の及ばない領域であった。子供の誕生は夫婦の喜びであると同時に家の存続やムラの活動の担い手の確保に繋がることであった。
 子供を授かるための祈願には神仏に祈願するもの、呪術によるものがある。神仏に祈願するものとしては、ムラの鎮守に祈願したり、須賀島八左衛門島の子育て地蔵などに祈願したり、岩槻市鹿室の宝国寺の地蔵様を信心してお参りした例が多い。また、呪術によるものとしては、「お七夜の雪隠参りで、お参りした後に便所に下げてくるオサゴをもらって食べると子供を授かる」「三夫婦そろった家の人のコシマキ(腰巻)をもらって締めるとよい」などというようにすでに子供を授かった人から、力を分け与えてもらって妊娠しようとするものと「正月三が日に鶏が産んだ卵を毎日一つずつ食べるとよい」というように、滋養をつけることで妊娠しようとするものがある。また、子供がどうしてもできず、養子をもらうと不思議と妊娠したもので、こうしてできた子をヤキモチッコなどといった。