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帯祝い

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 妊娠五か月目の戌の日に妊婦は腹帯を巻く。これを帯祝いという。犬は多産でお産が軽いことにあやかって、この日を選ぶ。五か月目には二回戌の日がめぐってくるが、五か月目に入って初めての戌の日に帯祝いをすることが多い。しかし、その日が仏滅である場合などは次の戌の日を選ぶ。腹帯は岩田帯ともいわれ、嫁の実家から贈られることが多いが、そうでない場合は呉服屋で晒(さらし)を買い求めた。これを縁起のいい七五三(七尺五寸三分)の長さに切ったものが多く、お腹にあたるところに「犬」「寿」と紅で書くこともある。しかし、七五三の寸法だと妊娠後期には長さが足りなくなるため、一反の晒から半反ずつ、二本取る方が理にかなっていた。七尺五寸三分は鯨尺で約ニメートル八六センチ、半反は約五メートルである。初めて巻くときは晒の幅を二つ折りにするが、おなかが大きくなってくると広げて巻いた。晒のほかにも「上棟式に使った紅白の布を巻くと安産」「夫のシタオビ(下帯)を巻くと安産」などという。初めて腹帯を巻いてくれるのは産婆であることが多く、中には実家に帰って母親に巻いてもらった人もある。

5-1 水天宮の腹帯

 腹帯の効能は「汗をとる」「胎児の位置を保つ」「胎児が育ちすぎることを防ぐ」などがあるという。そのため、腹帯は毎日交換し、寝るときもしっかりと締めて寝た。また、産後も一か月くらい巻き続けると骨盤がしまり、産後の肥立ちもよい。使い終わった腹帯は次子のために取っておいたり、子供のジバンに縫ったりした。
 内野のある家では、腹帯に蛇の抜殻をはさんで巻くと、安産になるといわれた。そのため、屋敷に蛇一匹がきれいに抜けた抜殻があると、平らにのばして大切にとっておいたという。