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安産祈願

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 妊娠すると安産で生まれ、母子ともに健康であるように神仏に加護を願った。妊婦は農作業で忙しかったため、お参りするのは姑であることが多い。安産祈願にはムラの鎮守や須賀島八左衛門島の子育て地蔵、白岡町上野田の正伝寺の開山様などに参った。須賀島の子育て地蔵は享保一二年(一七二七)一月の銘があり、人々は安産祈願し、無事に子供を授かるとお礼に農産物や絵馬を供えた。また、正伝寺の開山様は本来、婦人病などを治すご利益があるとの信仰があるが、広く女性の守り神として安産にもご利益があり、開山様に奉納されている数多くの絵馬の中には「安産祈願」と記したものもある。また岩槻市鹿室の宝国寺の子育て地蔵もご利益があるといわれ、お参りしてオサゴとお守りをいただいてくる。このオサゴはいよいよお産というときに家の米と一緒に炊いて食べると安産になり、お守りは妊娠五か月目の戌の日に腹帯と一緒に巻き込んだ。戦後になると東京都中央区日本橋の水天宮などへの参拝が一般的になってきた。
 東粂原では、七月二四日に東粂原で行われる祭礼「地蔵様の灯龍」において、灯されて短くなったろうそくを半紙に包み、妊婦に配っている。これをお産のときに灯すと燃え尽きるまでに子供が生まれるといい、この祭礼を主催する東粂原青年会の当番はできるだけ短いろうそくにするため、刃物でそぎ取る。

5-2 東粂原の地蔵様の祭礼で配られるろうそく(短かく切ってある)


5-3 梅田地蔵(春日部市梅田)

 川端のある家では、春日部市梅田の梅田地蔵はご利益があるとして日参したという。