妊婦は死の穢れにふれないようにするために、「葬式に出てはいけない」という禁忌が広く聞かれる。妊婦の夫に対しても「ロクドウ(六道。墓穴を掘る役)をしてはいけない。その場合は順番をとばしてもらう」という。どうしても妊婦が葬式に出なくてはならないときは「懐に鏡を入れていく。その際は鏡の面を外に向ける」、「葬式に行く途中、誰にも気づかれないようにこっそり六銭を捨てる」(東)、妊婦が葬式の送りをしなくてはいけないときは「袂に紙に包んだオサゴを一、二勺入れて、少しずつ落としながら歩くとよい」(西粂原)などの行為をすればよいとの伝承もある。また、火事があったとき、妊婦がその方を向いて小便をするとアザッコ(アザのある子)ができるという。そのほか、禁忌としては重いものを持ってはいけない、手を伸ばして高い所のものを取ってはいけない、などがある。
食べ物に関する禁忌では「柿やそばはからだを冷やすので食べてはいけない」、「熱いものを食べると子供にさわる」などがある。