ビューア該当ページ

鯉の贈与

405 ~ 405 / 772ページ
 臨月に近くなると嫁の実家から鯉が届く。これは「子供が鯉のように威勢良く生まれるように」との願いをこめたもので、魚屋で購入した生きた鯉を水を張ったオカモチに二匹入れた。鯉はアライにしたり、ぶつ切りにして煮たり、鯉こくにした。鯉を食べると栄養がつき、お産が楽になり、乳がたくさん出るといわれ、妊婦が食べた。鯉を下ろすときは肝を傷つけずに取り出すように気を使わなければならない。肝を切ってしまうと鯉全体が苦くなって食べられたものではないという。