後産(エナ)は半紙に包んで麻糸で水引のように縛り、土に埋めた。包むのは産婆であったり、夫だったりする。埋める場所は大きく分けて二通りあり、神主にみてもらったアキノカタに穴を掘るというもの、もうひとつは人が多く出入りする土間の大戸やセドグチの敷居の下に埋めたというものである。土間の大戸は男児、セドグチは女児、あるいは土間の大戸は長男、それ以外の子はセドグチという例もある。いずれも、子供はその上を初めて通ったものを怖がるといわれ、エナを埋めた夫が踏んだ。母子健康センターでの出産においてもエナを持ち帰り、家で埋める人もあった。
西原のある家では、勉強ができる子になるように鉛筆をいっしょに埋め、お乳がたくさん出るように産湯を一升瓶に入れていっしょにいけたという。