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産後の禁忌

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 出産の穢れをチブクという。床上げまでの産後二一日間はその忌の最も強いときであり、この間はさまざまな禁忌があった。その例をあげると「針仕事をしてはいけない」、「洗濯・炊事といった水仕事をしてはいけない」、「風呂に入ってはいけない」、「髪を洗ってはいけない」などがある。これらの禁忌を破るとあとで目が悪くなったり、頭痛持ちになったりするという。これは出産直後の産婦を充分休養させるという意味もあり、産婦はヘヤにこもって生児の世話に専念した。しかし、何人生んでも床上げまではゆっくり休むという家と、初子ではニ一日間休んだが二人目、三人目になると早めに働き出したという家もある。
 西原のある家では、母親が厄年で生まれた子はダイヤクでよいという。
 川端のある家では、土間に下りてはいけないという。
 辰新田のある家では、オカッテに入ってはいけない、橋を渡ってはいけないという。