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初節供

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 子供が生まれて初めての節供を初節供という。男児は五月五日の節供に鯉幟、座敷幟(よろい・かぶと)など、女児は三月三日の節供に雛人形を飾るが、それぞれ実家から節供の前の吉日に贈られたものである。実家では岩槻や杉戸などで購入した。また、親戚や仲人が贈る場合は男児なら五月人形、女児なら浮世人形などであった。浮世人形は花咲じじいなどの昔話を題材にした人形や高砂など子供の長寿を祝う人形のことである。これらの人形は座敷に飾り、節供当日は親や親戚を呼んでお祝いした。五月の節供では柏餅、三月の節供では草餅を作り配った。

5-12 初節供 昭和16年(男児) (知久氏所蔵)


5-13 初節供(女児)

 東では昭和一五年くらいまで、男の子の初節供には大凧上げをした。月遅れの五月五日(新暦六月五日)でちょうど麦刈りが終わったころであった。凧は家の人の手作りで、昭和初期は家によって大きいものは三畳くらい、普通は一畳くらいで、長男の節供のときは大きい凧を上げた。大正時代はもっと大きかったという。大凧の絵は勇壮な武者絵が好まれるが、文字を書くところもある。近所で絵を描くのが上手な人に描いてもらったり、春日部や杉戸の提灯屋に描いてもらったりする。大凧の骨は縦に五本、斜交いに二本で、自宅の竹から作ったり、魚のウケを作るウケヤに頼んだりした。