嫁人り道具は嫁の実家(婿人りでは婿)が用意し、祝儀に近い吉日あるいは当日に花嫁行列の後ろに連なって、嫁の実家の近所の人や親戚が運んだ。これを荷送りという。荷送りの仕事の責任者として采配を振るう人をニザイリョウといい、その人の指示でオトモ(荷物を運ぶ人)が大八車、荷車やリヤカーに嫁人り道具を載せて、唐草模様の風呂敷をかけて運んだ。中には農耕用の牛に引かせたウシグルマ(牛車)で運ぶこともあった。また、派手に見せるために二台分の嫁人り道具でも三台に分けて運んだりした。婿(嫁)の家に到着すると、ニザイリョウは「確かにこれだけのものをお届けしました」と報告する。ニザイリョウとオトモは重要な客の一人として祝儀の席についてもらい、お膳を用意し、また謝礼としてお金を包んだ。荷送りのとき、ムラの若衆が面白半分に荷物をひっくり返していたずらをした者もあったという。