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婚礼衣装

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 花婿は黒羽二重の紋付に羽織袴で末広を持ち、白足袋に草履を履いた。昭和二五年ごろになると背広で挙式する人もあった。花嫁は下に白を重ねた江戸褄でこれは裾にフキ綿が入り、生地は縮緬が多かった。江戸褄の紋は実家の紋であった。昭和初期には裾模様入りの江戸褄を着ているのは資産家で、多くは無垢の紋付であった。帯は丸帯で朱のシゴキを垂らし、筥迫や末広を身に付けた。昭和二〇年ごろでも振袖の花嫁さんは珍しく「フリソデヨメゴ」といわれ評判になり、わざわざ見にくる人もいた。また、頭に被るものは綿帽子よりも角隠しが多かった。履物は畳表の桐の駒下駄でアトマルといい、花婿や親戚がお祝いにくれたものである。

5-21 髪飾り


5-22 筥迫

 三三九度が済むと、花嫁は角隠しを取ってお色直しをする。お色直しには訪問着や付け下げ、小紋の襲などを着た。色直しを手伝うのは親類の器用な人か髪結いさんで、花婿さんも背広に着替え、お酌に回ったりした。