昭和三二年に埼葛火葬組合斎場が春日部市内牧に設立され、次第に火葬が定着していった。しかしながら、「死んでまで火で焼かれて熱い思いをするのはかわいそうだ」という風潮もあり、土葬は約二〇年前まで行われていた。土葬では、あらかじめロクドウが掘った穴に棺桶を下ろす。棺桶には座棺なら縄が十文字に、寝棺なら長辺の二か所に縄が十文字に掛けられていて、それぞれその縄を持って墓穴に下ろし、シャクシなどで縄を切る。また、葬列で持ってきたコンゴウヅエなども墓穴に入れる。そのほか、一年に一軒の家から二人の死者が出た場合は近所の人が作った藁人形を「三人目が出ないように」と入れる。
血の濃い順に少しずつ土をかけ、親族全員がかけ終えるとロクドウが鍬で土をきれいに丸く形を整える。六角棒を立て、お膳持ちが持ってきた膳、その両脇に花を供える。この際、膳はタテゼンといって木目が縦になるように置く。そのため、日常で膳を使うときは木目が横になるように用いる。
また、七日塔婆(シッペガシ)、位牌も置く。そして参列者が土に線香を一本ずつ挿した。埋葬したあとは、墓へ行くとき通った道とは違う道を通って帰った。
埋葬が済んで、喪家に戻ってくるとお風呂に入った。西粂原のある家では風呂に入り、おにぎりを食べてから、本膳についたという。ロクドウは大役で、キヨメとして多くの謝礼を支払った。また大きなまんじゅうを五個一箱に詰めて、シキモノ(引物)にした。