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初彼岸

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 地区にアタラシボトケ・シンボトケ(新仏)ができると千地蔵参りをする。これは近所の人たちが近くの墓地を回り、千体の地蔵様に白い札を貼って歩くものである。この札は新仏があった家が用意し、これを手分けして墓入り口の六地蔵や墓地内の地蔵様にのりで貼っていく。
 金原では春彼岸と秋彼岸の入りの日にヒガンオトキを行っている。午前八時に千地蔵を貼るおばあさんが集まり、住職の説法を聞いたあと、墓に貼りに行き、午後には先祖供養のために百万遍をする。ヒガンオトキは春彼岸の当番が上組なら、秋彼岸は下組というようになっていた。当番は野菜を集め、けんちん汁などの料理を作り、当番でない組は千地蔵を貼った。千地蔵は金原遍照院・共同墓地、西原地蔵院、前原神外坊、東観音寺・西光院の墓地を回り、用意した札が貼り終わるまで行う。四〇人くらいで回り始め、一番遠い西光院まで行くのは二〇人くらいである。本来はひとつの地蔵様に一枚の札であるが、地蔵様を探し回るのが大変で一体に何枚か貼ってしまうようになった。千地蔵参りの意味は新仏の供養である。お札をまとめて買ってくるのは世話人だが、お金を出すのは新仏のあった家である。百万遍は新仏のあった組の人は全員が出なくてはいけない。座順は決まっていないが、百万遍の車座の中で鉦を叩く人、大きな数珠玉の結び目がくるたびにマッチ棒で数を数える人は親の代から決まっている。

5-36 千地蔵参り