衣料品をはじめ暮らしに必要な品々の購入には、杉戸町や春日部市あるいは白岡町へ行った。このうち最も多く利用されたのは杉戸町の商店で、春日部市寄りに位置する西原や姫宮でも、「春日部一里で杉戸は半里」といって杉戸町へ行った。交通手段が徒歩や自転車に限られていた時代には、距離の近いことが優先されたのである。杉戸町の旧日光街道沿いには老舗の呉服店があり、ここでは紺絣、縞、紺無地、天竺木綿などから上等な絹物に至るまで呉服全般を扱っていた。また、杉戸駅(現東武動物公園駅)東口近くのT呉服店は、百間新道を通って買い物に来る百間村の人々を主たる得意客としており、百間村へ売りにも来ていた。
杉戸町で用が足りない場合は、春日部市まで行った。春日部市は杉戸町に比べて商店が多く、その規模も大きい。したがって、品揃えも豊富であった。そのため、婚礼衣装のような大口の買い物は春日部市に行く者も多かったという。そのほか、白岡町寄りの西粂原や東粂原では、白岡町高岩のS呉服店へ行くことが多かった。
杉戸駅東口の近くのM洋品店は農家相手の商売を行っており、紺絣や縞の反物をはじめ、シャツ、モモヒキ、ウデヌキなどの野良着を置いて農村部へ売りにも来ていた。