農村部には、呉服店や洋品店、荒物屋、小間物屋などの行商が来た。
杉戸町や春日部市の呉服店は、大風呂敷で呉服を背負い、着くとアガリハナに呉服をハナエテ(広げて)商売を行った。得意先を回るので、家族の年齢や好みを熟知しており、気に入るものをそろえて持ってきたものである。
昭和三〇年代から四〇年代には、既製品の洋服や下着の行商が来た。西原には金原の呉服店と羽生市の人が来ており、シャツ、ブラウス、モモヒキ、ズロース、靴下などを持ってきた。羽生市の人は定宿を拠点にし、数日間泊まり込みで得意先を回った。