男性は、田畑を問わず年間を通して紺無地のノラジバン(野良襦袢)とモモヒキ(股引)を着用した(図9)。ノラジバンの下にはシャツを着用し、暑い時期にはノラジバンを脱いでシャツ一枚になった。また、水田に入るときはモモヒキの膝下と足首を藁で縛った(図10)。こうすると足運びが軽く、ヒルやジンダンベ(アブの幼虫)の侵入を防ぐこともできたのである。ヒルやジンダンベは、ドブッタと呼ばれる水はけの悪い湿田に生息した。町内では西原や逆井のヤマ際に湿田が多かった。
図9 男性の野良着姿
図10 モモヒキの膝下と足首を藁で縛る