モモヒキで最も傷む部分は、膝であった。そこで、仕立てる際には内側から布地を当てて補強をした。また、モモヒキは水田で長いあいだはいていると、膝から下がタッチブ(水田の水垢)で褪色し、布地も弱くなる。特に、ドブッタはタッチブが多く、褪色が早い。そこで、褪色が進んだモモヒキを膝上で切り、下の部分を新たに縫って継ぎ足した。ただし、このようにするのは女性のモモヒキに限られた。理由は、女性のノラジバンであれば継ぎ目が隠れるが、男性のノラジバンは身丈が股上を隠す程度で継ぎ目が見えるからである。
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図13 モモヒキ(逆井 秋間氏所蔵)