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履物

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 農繁期には、朝飯がすんでダイドコロの土間へ下りると裸足になり、そのまま野良仕事に出かけた。したがって、道中の歩行も田畑の仕事も裸足であった。
 道路は砂利道もあれば泥道もあり、本田の道には杉戸機関区から排出されるタンガラ(石炭殻)が敷かれていた。砂利道は裸足で歩くと足裏が痛いが、タンガラは感触が柔らかかったという。
 水はけの悪い湿田にはヒルやジンダンベが生息しており、裸足で入るとこれらに容赦なく刺された。ジンダンベに刺されると、ビリビリとしびれるような痛みが走った。
 西原から春日部市内牧にかけての湿田では、かつて摘み田が行われており、その際にはカンジキを履いて水田に入った。カンジキは、板に縄の鼻緒をすげた田下駄である。
 水の引いた水田での稲刈りや、晩秋の麦播き、冬の麦踏みには地下足袋を履いた。