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ふだん着を兼ねる野良着

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 農家では野良着がふだん着を兼ねており、朝起きてから晩に風呂に入るまで、一日の大半を野良着で過ごした。ただし、水田ではモモヒキが泥だらけになるので、仕事が終わるとモモヒキを脱いで用水堀やミズットオシ(堰堀)で洗い、男性は褌(ふんどし)一丁、女性はコシマキを下ろして家に帰った。そして、モモヒキを竿に干し、ふだん着に着替えたのである。女性は、野良着のままで晩飯の支度に取り掛かることが多かった。深い水田ではコシマキが濡れることもあったが、煮炊きをしているうちに乾いてしまったという。