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女性のよそゆき

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 祝儀には縮緬の紋付と白無垢の襲を着用し、これに丸帯を締めた。紋付には裾模様の入った江戸褄と無地があり、昭和初期には茄子紺色の無地が流行した。不祝儀には、黒無垢紋付と白無垢の襲を着用した。また、夏には絽の黒無垢紋付が用いられ、この下には白絽の長襦袢を着た。
 金紗、御召、縮緬、カべ(壁縮緬)は、襲に仕立てて一張羅とされた。また、夏の一張羅は絽の単物と絽羽織で、これに絽の長襦袢を合わせた。ただし、こうした上等な着物は誰もがそろえられたわけではなく、手織りの平絹を紺屋で柄物に染めて襲に仕立て、これを一張羅とする者も多かった。一張羅に次ぐ着物には、銘仙、紬、メリンスがあった。ちょいちょい着は、ニコニコで仕立てたものが多かった。また、夏には浴衣が用いられた。
 春から夏、夏から秋にかけての合着にはセルの単物が用いられ、昭和三〇年代にはウールの単物が流行した。
 よそゆきの帯には、袷に締める腹袷帯、単物に締めるひとえ帯があった。また、昭和初期には名古屋帯が普及した。
 戦争中の昭和一八、九年には、長袂と長裾の着物で外出することが禁じられたので、袖の短い腰切りの標準服とモンペを着用した。