花嫁衣装には、江戸褄と呼ばれる裾模様紋付(6-10)と無垢の紋付があり、いずれも白無垢との襲で着用された。昭和初期には江戸褄を着るのは財産家の花嫁といわれ、多くは無垢の紋付を着た。当時は、茄子紺色が流行していた。戦前から戦争中にかけては黒無垢紋付が多くなり、戦争が激化すると黒無垢紋付にモンペをはくようになった。終戦後には、肩と袖と裾に模様の入った振袖を着る者が増え、花嫁衣装は次第に華やかになっていった。
6-10 江戸褄
紋付には丸帯を締め、その上に赤いシゴキ(扱き帯)を締めて脇に垂らした。また、胸元には筥迫(はこせこ)を挿し、手には末広を持った。履物は(6-11)のような畳付きのアトマル(後丸下駄)であった。
6-11 アトマル