葬式ができると木綿の晒一反を購入し、身内の者たちが死者の装束を縫った。装束は図21のようなジバンとコシマキで、このほかにキャハン(脚半)を縫う家もあった。晒を裁つ際には物差をあてず、腕や指で寸法を測った。裁断にはハサミを用いるが、厳格な家では手で引き裂いた。縫い目は粗く、何人もで回し縫いをし、糸の端にはコブ(玉止め)を作らず縫い放しにした。また、不幸が繰り返されないように返し針を避けた。
図21 死者のジバンとコシマキ
ジバンとコシマキの上には、生前に着ていた着物を左前に着せた。袷の着物は表地と裏地が重なっていることから不幸が重なるといわれ、単物を着せるようにした。
足袋は、左右を逆に履かせた。頭には天冠(三角布)を付け、首からは頭陀袋を提げた。