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裁縫の禁忌

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 裁縫を行ってはいけないとされる日は、一二月八日のシワスヨウカ(師走八日)と初午であった。
 シワスヨウカの晩には一つ目玉が飛んでくるので糸機の仕事をするなといわれ、裁縫や機織りを休んだ。また、初午には、鍛冶屋がフイゴ祭りを行うので、この日に針を持つと「火にかえる」といって火事になるといわれた。
 朝や出がけに、慌ただしく針を持つことはいけないといわれた。理由は、葬式に忙しく死者の装束を縫うことにつながるからである。また、着物を仕立てる際には、片袖だけを縫って一日の仕事を終いにするものではないといわれた。