木綿のふだん着は、長いあいだ着ているうちに方々が擦れて傷む。そこで、農閑期には傷んだ着物をほどいて繕い、これを洗って糊づけをしてから張り板に張った。そして、乾いたものを畳んでおき、夜なべに縫い返しを行ったのである。木綿物の糊づけには、うどん粉(小麦粉)で作った糊が用いられた。また、ゆるい粥を煮て、その汁で糊づけをすることもあった。
縫い返す際には、傷んだ部分をずらして着物の寿命を伸ばすようにした。例えば、布地が焼けて褪色したものは裏返しにし、肩が擦り切れたものは肩山で切って天地替えをし、背中が傷んだものは前身頃と後身頃を取り替えた。紺絣や縞は布地に裏表の区別がないので、両面を使うことができたのである。また、紺絣は白い柄の部分が早く傷むので、柄に穴が開いたものは、これを繕ってから縫い返した。膝や裾が傷んだものは、腰のところで切ってノラジバンやハンテンに縫い替えた。