着物は、できるだけ長く着られるよう、さまざまな手を加えて繰り回された。
木綿の長着は、膝や裾が痛むとノラジバンやハンテンなどに縫い替えられた。また、ほどいて子供のおむつにも縫われた。戦争中には長着を標準服とモンペに縫い替え、地味な大人の着物は染め替えて子供の着物に縫い替えられた。
兄弟姉妹のあいたでは、兄や姉の着物を順次弟や妹が着たもので、こうしたお下がりも繰り回しの一方法といえる。
木綿のぼろを縄にない、これを容器へ渦巻き状に入れて火種とする者もあった。ぼろ縄は、火を付けると燻りながら長時間燃え続けるので、これに付け木を当てて竃や風呂に点火したのである。