フキノトウとツクシは、春一番に芽を出す。フキノトウは、油で炒めてから味噌であえてフキノトウミソにした。ツクシは、節を取り除いてからゆでて酢味噌をかけた。
竹林では四月にモウソウダケ、五月にマダケのタケノコが生えるので、これらを皮付きのまま米糠を入れてゆで、アクを抜いて煮物にした。また、余ったタケノコは塩漬けにして保存された。
ヤマ(雑木林)にはワラビ、川のほとりにはゼンマイが生えるので、これらを採ってアクを抜いてから煮物にしたり、油揚といっしょにご飯に混ぜて炊いた。アクを抜くには、ナナマリショウギと呼ばれる平たい笊に藁灰を入れ、上から熱湯を注いで灰汁を落とし、この中にワラビやゼンマイを漬ける(図24)。そして、しばらくおいてアクが抜けたところで水洗いをする。ゼンマイは、アク抜きの前にアタマを取り除いておいた。
図24 ワラビやゼンマイのアク抜き
田んぼではセリを採り、これをゆでてごまあえにしたり、味噌汁の身に用いた。ただし、五月の節供を過ぎるとセリに虫がつくので、採るのは四月までとされた。