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鶏卵と鶏肉

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 農家では、鶏を五、六羽から一〇羽くらい飼って卵を生ませ、これを鳥屋に売った。
 卵は収入源であり、日常に食べることは少なかったが、子供の運動会や遠足には卵焼きを作り、病人がいれば滋養を取るために生卵を食べさせた。
 物日や来客時には、卵を生まなくなった廃鶏をヒネッテ(殺して)調理した。羽根をむしり取って肉と骨に分け、肉をネギやゴボウといっしょに砂糖醤油で煮る。また、肉とゴボウを炒めて醤油味の汁を作り、これにそばをつけて食べることもあった。骨には肉がこびりついているので、これをブチダイにのせて二丁の鉈で粉々に砕き、つなぎの小麦粉を混ぜてホネダンゴ(骨団子)と称する団子に丸め、油で揚げたりゴボウと醤油煮にして食べた。団子をネギや菜っ葉とともに煮て醤油味の汁を作り、これにうどんやそばをつけて食べることもあった。