冷蔵庫のない時代には、井戸がその役目を果たした。井戸水は年間を通して一三度くらいに保たれるので、夏は冷たく、内部は天然の冷蔵庫となる。そこで、うどんやまんじゅう、ぼた餅などが残ると、これらを笊に入れて布巾を被せ、縄で吊しておいた。
夏には、氷を桶などに入れて簡易のアイスボックスを作る家もあった。また、氷は夏のご馳走であり、ぶっかき氷を頬張って汗だくの体を冷やすのは何よりの贅沢とされた。八河内のK家では、久喜市の氷屋まで買いに行き、古くはおがくずや籾殻を詰めた箱に氷の塊を入れて運んだが、のちには新聞紙に包んでから麻袋に入れて運ぶようになった。