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新年の宴会

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 正月には、親戚同士が招き合って宴会を催す日があり、これをカレイビ(家例日)、ヨリビ(寄り日)という。日取りは五日から八日ごろが多く、大盤振る舞いをすることから「正月のオオバン(大盤)」とも呼ばれた。招待客は、半紙二帖と手拭を持参するのが習わしとされ、ほかに化粧箱入りの砂糖や菓子折を持参する者もあった。
 宴会ではお節料理と酒が振る舞われ、家によってはそばを打つところもあった。本田のH家では、五日のカレイビまでそばを打つのを禁忌とし、この日をそばの食べ初めとしたという。また、昭和二〇年代まではミカンが高級品であり、これを食べられるのは正月だけだったので、カレイビには木箱入りのミカンを買って振る舞ったものである。帰りには、お節料理の折詰を手土産に持たせる家もあり、豪華に行う家では魚屋に注文して折詰を作らせた。姫宮のS家では、金原の魚屋にシャク(一尺)の折詰を注文したという。