春のカワリモノには草餅がある。草餅を作る日は、二月二八日の不動様の日、三月三日(月遅れの四月三日)の桃の節供、そして、四月八日(月遅れの五月八日)のお釈迦様の祭りである。
草餅は、粳米の粉を熱湯でこねてからちぎって蒸し、これに細かく刻んだヨモギを加えて搗き、丸めたものである。黄粉をつけて食べることが多いが、あんを入れる家もあった。
不動様の日には、草餅を食べると中気にかからないといわれた。須賀のI家では現在も草餅作りを続けており、閏年も変わらず二八日に作るという。また、家によっては、二〇日に作るところもある。
桃の節供には草餅とアンビンを作り、女子が誕生した家では、これらを重箱に詰めて親元や親戚へお祝返しとして届けた。
草餅を最後に作るのは、シガツヨウカと呼ばれるお釈迦様の祭りであった。祭りは月遅れの五月八日に行われ、この日を過ぎるとヨモギはアクが強くなる。そのため、「お釈迦様が来ちゃ、草餅も終わりだ」といったものである。