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オトキのご馳走

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 男衆や女衆がヤド(宿)に集まって飲み食いをする行事を、オトキという。
 台の越と姫宮では、四月一日の苗田正月、七月二一日のオシシサマ(お獅子様)、二百十日の年三回、姫宮神社に両地区の男衆が集まってオトキを行った。当日は、神社備え付けの大釜でご飯(白米飯)を炊き、汁物は、苗田正月とオシシサマには味噌汁、二百十日にはけんちん汁を付けた。料理や酒は年番が用意し、その経費は掛け金というかたちで徴収された。家によって四階級の掛け金が定められ、最上級と最下級とでは約一〇倍の差があったという。オトキでは酒を大量に飲むので、集められた掛け金の大部分は酒代に当てられた。また、終戦後には仕出し料理を取るようになり、そのための経費も必要となった。
 本田では、三月と一〇月の年二回、ネエサンオトキと称して嫁が集まってオトキを行い、この行事は現在も続けられている。三月のオトキは二日続きで行われ、これは別名サカモリ(酒盛り)と呼ばれるように酒を飲むのが主体である。ただし、女衆は清酒の飲めない者が多いので、代わりにブドウ酒を飲む。料理は、五目飯とけんちん汁である。一〇月のオトキは一日だけで、作られる料理は三月と同様五目飯とけんちん汁である。現在では集会所を使い、仕出し料理で飲み食いを行っている。