九月一五日の十五夜と一〇月一三日の十三夜には、うどんを打ったりぼた餅やまんじゅうを作り、これらをススキや柿・栗・里芋といった秋の収穫物とともに月に供えてから家族で食べた。古くから、「月見には丸いもの」といい、まんじゅうや団子が欠かせなかったのである。
畑作地域においては、十五夜や十三夜に「丸いもの」を作らない家もあった。須賀のI家では、夏から秋へと季節が移ろう八月二五日の二十五夜を皮切りに、十五夜、十三夜、一一月一〇日のトウカンヤ(十日夜)と計四回の月見を行い、このうち、ぼた餅を作るのはトウカンヤの月見だけであった。二十五夜はヒモカワ、十五夜は里芋のけんちん汁を作り、十三佼は何も作らず柿や栗などを供えたという。