恵比寿講は、一月二〇日と一一月二〇日(または月遅れの一二月二〇日)の年二回で、前者は商家、後者は農家が祝うものとされる。
恵比寿講では、オカッテのエビスダイコクサマをおろして座敷のちゃぶ台にまつり、その前にテンコ盛り(高盛り)のご飯、尾頭付きの魚、けんちん汁の膳を供えて、家族も同じものを食べた。
ご飯は、新米で炊かれた白米飯である。この時期は、カラスヒキと称して唐臼を使った籾摺りの最中であるが、すでにカラスヒキのすんだ玄米をついてご飯を炊いた。尾頭付きの魚には、たいていサンマが用いられた。
膳のそばには、カケブナと称して生きたフナ二匹をどんぶりに入れて供え、恵比寿講が終わるとこれを井戸に放した。また、「金を掻き込む」に通じることや火難に遭わないという理由で柿を供える家も多く、古くは大麦のコウセンに熟柿を混ぜたカキモチ(柿餅)を供えたものである。