妊娠中には、脂っこいものや青背の魚を食べると血が荒れるなど、さまざまな理由で食事が制限された。そのため、妊婦は十分に栄養が取れず、田植えや秋の稲刈りで重労働が続くと夜盲症にかかる者が少なくなかった。「夕方になると目が見えないけど、どうしたらよかんべぇ」と産婆に相談に来るので、産婆は「生卵を飲みなさい」と指導をした。しかし、「姑さんが卵の数を勘定しているので、勝手に飲むわけにはいかない」という者もあった。
鯉は滋養がつき、特に肝は妊婦の栄養源になるといわれた。しかし、実際に鯉を食べられる者は少なかったという。