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井戸

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 昭和三〇年代になって上水道が普及するまでは、水は井戸から汲み上げて使っていた。井戸は垂直に穴を掘って、地下水を汲み上げる縦掘りの井戸である。縄や竿の先に付けたツルベやハネツルベを使って水を汲み上げ、滑車をつけた車井戸を使用した。その後、押し上げポンプが普及するようになった。

6-35 つるべ井戸(飯山氏所蔵)

 東のある家では、ポンプで水を汲み上げお勝手と風呂に竹筒を使って送っていたという。
 井戸はセドグチを出た所にある例が多いが、中には表にも井戸があり、二か所ある家もある。また、屋根(井戸ヤカタともいう)を付けた井戸もある。井戸には井戸神様が祀られている。
 井戸替えは、毎年あるいは二年おきに隣組が共同して行った。行う時期は春先が多く、井戸の掃除をする前に井戸神様に水の中からあがってもらい、井戸の中がきれいになったら戻ってもらう。
 本田では水質が悪く、瓶にシュロの皮と石を詰めて水を漉して飲んだという。また、井戸を埋めたときには表面に息つきのパイプを挿しておく。