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 竃はヒジロとも呼ばれ、土間のダイドコロの奥に設けられていた。土と刻んだ藁を水でこね、形を整えて固めた。竃の近くには燃料の木々が置かれていた。竃には大小二つの竃とカギッツルシのヒラヒジロが多い。
 ヒラヒジロにはカギッルシ(ツルシ)という荒縄に自在鉤がつり下げられている。カギッツルシの火元の所をヒラのヒジロ(火地炉)あるいは、単にヒジロと呼んでいる。これはわずかに土間をくぼめた程度のものが多い。
 竃には、焚き口が三つあいており、炊く量に応じて大きさの異なる釜を掛けられるようになっていた。竃の大きい焚き口は五升釜用で、小さい焚き口は一升釜用で日常の煮炊きに使用される。カギッツルシは主に鉄瓶でお茶を沸かしたり、味噌汁を作るときなどに使用する。ここでは大麦や小麦のカラ(殼)を燃した。中には、三、四つの焚き口を持つ竃もあり、大竃は味噌や醤油を作るときに使う。
 燃料には藁や薪、木の葉、枝っぱ、杉の葉などが使用された。屋敷周りの木を利用することが多い。また、ヌカ竃といい、ヌカを燃料とするものもあった。養蚕を行っていた時にはクワボウ(桑棒)がたくさんあり、藁で火を点けて燃やしてからクワボウを燃やした。

6-38 竃