暖房器具としては、火鉢や行火(あんか)、コタツなどがある。火鉢には、ひと抱えもあるような大型のものもあったが、主に鉄製や瀬戸物が多かった。火鉢は元来四角い桐などの木製であったといわれる。また、猫火鉢と称して、消し炭を入れた上に布団をかけて使用したりした。行火は昭和年間に入ってから使用されたもので、丸い行火に消し炭や灰を入れて用いたりした。コタツには掘りゴタツと、自由に移動できる猫ゴタツの二種類がある。掘りゴタツはゴザを畳半分に区切って作る。ともに火種を入れてヤグラを置き、布団を掛けて使用したが、大変暖かいものであった。