ビューア該当ページ

人生儀礼と部屋の使用法

583 ~ 584 / 772ページ

図40 人生儀礼と部屋の使用法(婚礼の入家儀礼・出産)

 出産・結婚・葬送などの人の一生における祝儀・不祝儀のときの部屋の機能・役割についてみていきたい。
 出産のときの部屋使用は、現当主の妻がかつて家庭分娩したときには、デイ(図・出産A)で行われた。また、当主を親が産んだときには、仏壇の部屋(図・出産B)で行われた。
 祝言を自宅で行っていたころの嫁の入家儀礼として、嫁は婚家に来るとまず竃の荒神様にお参りをする。その後、祝言の席に上がる。祝言はデイと床の間の部屋を通しで使用して行い、床の間の前に新郎新婦が並んだ。
 葬式のときには、死者は床の間の部屋に安置され(図・死者の安置)、祭壇もここに飾られる。納棺はデイで行い(図・納棺)、出棺の際には、ザシキから直接廊下を経て(図・出棺)庭に出る。庭ではニワトムライが行われ、葬列を組んで墓地に向かった。

図41 人生儀礼と部屋の使用法(葬送)