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旧加藤家住宅の構造について

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 加藤家の建物の大きさは、間口が一二間、奥行が六間で、約七二坪の面積である。屋根は寄棟造の茅葺である。また、次のような特徴がある民家である。
 *江戸時代末期の民家建築の特徴である田の字型(四間取り)の部屋割である。
 *母屋に平行して主客の間、裏にはツノと呼ばれるいずれも八畳の付属屋が設けられている。
 *主客の間は、佐倉藩の役人などが休んだとの伝承がある。
 *広い土間とその一角には馬屋があった。
 *馬屋とツノには、二階が設けられている。
 *棟の中央には、煙出しのためのウダツと呼ばれる高窓があり、これは蚕の飼育をした際に利用された。
 *梁は直径三〇センチメートル余りの太い松などが用いられている。
 移築される前と後との比較をすると、次のことがわかる。土間には比較的古い段階で二階が設けられたようで、その後台所や風呂場が増設され竃が撤去された。田の字型の部屋は大きく改造はされていないが、縁側に接する障子が新しくなっていたり、ガラスが用いられるようになった。
 加藤家には母屋のほかにも長屋門が残っていたが、昭和六一年に改築された。