わが国では明治二八年ごろから横浜、東京を中心に自転車が普及しはじめて、軽便さがかわれて急速に普及した。明治末期には東京築地に日本輪業社が創設され、国産車も出回りはじめた。
当時の自転車は固定式で踏切りといっていた。踏み出すと自然にペダルが回って、止めるときには足で加減してブレーキ代わりにして止めた。慣れないうちは足を地面につけて止めるか、倒れるかしなければ止まることができなかった。夜間に乗るときは提灯(ちょうちん)をつけないと罰金を取られた。当時の自転車は三、四〇円(普通の店員や職人の月収の二倍位)だったので、月賦で買うのがほとんどだった。
町内では、明治後期から大正初期にかけて普及していった。初期は裕福な地主などが乗り出したようである。大正期から昭和にかけて新車種が普及して、自転車の組立、修理の店もでき、急速に普及した。
自転車とリヤカーの普及によって、それまで重い荷車で運んでいた米俵などの運搬も楽になった。