ビューア該当ページ

越後のドッケシ売り

633 ~ 634 / 772ページ
 越後のドッケシ売りが、一軒でなく何軒か来ていた。ドッケシ売りの男の人は毎年来るので顔なじみだった。紺の風呂敷に薬を包んで背負ってやって来て、なじみの家でお昼になり、その家でお昼を食べていった。新潟から来るので薬と一緒に三条で作られる鎌とか包丁といった刃物類も持って来た。三条の刃物は刃(はがね)がたくさん使ってあるので研いでも研いでも切れる。刃がこぼれても研げば切れるので長いこと使える。