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駅弁の種類

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 駅弁には、上弁当、寿司弁当、サンドイッチがあった。
 上弁当は、図8のようにご飯とおかずを別々の折箱に詰めたもので、これを一組で販売した。折箱の掛け紙には登茂ゑ屋の商標が印刷されており、その隅には製造日と製造時間の判を押した。また、夏季にはご飯が腐らないよう、必ず梅干しを入れた。おかずは、ニンジン・ゴボウ・レンコン・鶏肉の煮物、雀焼き、卵焼き、鶏肉の唐揚げ、シイタケの甘辛煮、漬物で、これに茹でたサヤインゲンなどの青味を添えた。雀焼きは、甘辛く煮た小魚を数匹ずつ串に刺したもので、これは登茂ゑ屋の名物料理であった。おかずは熱いと腐りやすいので、必ず冷ましてから詰めるようにした。また、おかずの仕切りには笹やハラン(葉蘭)を用いた。

図8 上弁当

 寿司弁当は、海苔巻き・卵巻き・稲荷寿司を折箱に詰め合わせたもので、この方が上弁当より安価であった。
 サンドイッチは、図9のようにハムサンドと卵サンドをパラフィン紙に包み、これを刻みキャベツとともに折箱に詰めたものである。ハムサンドは、食パンにバターを塗って薄切りのハムを挟んだ。また、卵サンドは茹で卵をつぶしてマヨネーズであえ、これをバターを塗った食パンに挟んだ。食パンを切るには、ドイツ製の手動式スライサーが用いられた。サンドイッチの掛け紙は、白いエプロン姿のウエイトレスとコックの絵が印刷されており、とてもハイカラであった。

図9 サンドイッチ