図12 戦前の百間新道の家並み
また、雨が降ったあとには道路の方々に水溜まりができ、男の子はここでニッキ棒遊びを楽しんだ。ニッキ棒は枝の先を削って尖らせたもので、これを数人の男の子が順番に水溜まりへ投げて突き刺す。相手の棒を倒せばそれをもらうことができ、たくさんのニッキ棒を持っている者は自慢になった。
百間新道の商店や民家は、ほとんどが個人の井戸を所有していた。井戸には掘り井戸と突き井戸があり、突き井戸は掘るのに資金が必要なことから、たいていは掘り井戸であった。掘り井戸は浅いが、水の出は良い。しかし、鉄分の混じった赤水が出やすく、水質は良好とはいえなかった。