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和戸宿の家屋

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 商店は木造平屋建ての草屋根が多く、二階建ては少なかった。その中で、宿の中央部に位置するまんじゅう屋(S商店)は二階建て瓦葺きの造りであり、関東大震災でも倒壊を免れた(7-23)。ほかには、篠原大同医院やボタン屋が二階建てで知られていたが、これらは震災で倒壊した。
 商店で蔵を所有するのは、うろこ屋とまんじゅう屋くらいであり、これらはいずれも大店であった。

7-23 まんじゅう屋の店舗と蔵

 宿には農家も混在しており、シモジュク(下宿)の屋号を持つK家、シュク(宿)の屋号を持つS家、そしてジームサンと呼ばれるS家があった。K家は、もと名主の家で米の検査官もつとめており、のちに米穀商を開店して現在に至っている。S家はまんじゅう屋(S商店)の本家にあたる家で、入り口にはアカ(銅)の門があった。