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[共有財産]

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 共有財産とは、ムラや組などが祝儀・不祝儀などのように大勢の人が集まる饗応の際に使用する膳・椀・テーブルなどのことである。これらの道具を一般の家で常備することは、困難なことであったため共有財産として保有するようになったのである。また、藤曽根や川端・本郷・国納・八河内などでは火の用心の夜警の際に使用する拍子木、懐中電灯、金棒なども共同で管理している。
 金原では組全員ではなく、希望者が出資して徳利・膳・椀・箸・座布団などを買いそろえた。保管は置き場所のある大きな家に頼んだ。冠婚葬祭の機会に使用され、昭和三七年ごろまで使用されていた。
 姫宮では、昭和六一年ごろまで膳・椀・皿・テントなどが三〇人分用意され、最後に使用した家が保管した。
 川端では、一二月から二月の間に、二人一組で泊まり込んで一晩に三回火の用心に回った。このときの拍子木と懐中電灯が共有財産として管理され、次の家にまわした。
 松の木島では、膳・椀・皿など葬式に使用するものを集会所で管理している。
 東粂原では、膳・椀・鍋・釜を一〇〇人分くらいそろえてある。これは、東粂原で行う獅子舞、甘酒祭り、新年会、運動会などで使用されるものである。区長が管理し、現在でも使用している。
 本郷では、膳椀などが四〇組くらいあった。冠婚葬祭を家で行っていたころには、M家で保管していた。
 国納では、二〇人分の黒塗りの膳・椀・皿の一式と鉦(かね)が集会所に保管されている。現在でも葬式の時に使用する場合もある。また、夜回りの拍子木と懐中電灯を共有し、現在でも三軒一組で一一時ごろに回っている。

8-4 共有財産の膳と椀